ウソつきより愛をこめて
「……」
「…エリカ?」
だめだ、ショックすぎて言葉が出ない。
そりゃ翔太はモテるし、私とは違って元カノもたくさんいると思う。
…でも、あの人だけは嫌だ。
翔太を散々苦しめたあの人と翔太がなんて、考えただけで涙が出そうになる。
「…ふ、すげぇいい顔してる」
見事に皺の寄った私の顔を見て、翔太が至極嬉しそうに微笑んでいる。
「信じられない」
「…何が?」
「そんな話されて、平気な顔できるわけないじゃん…!」
いよいよ涙目になってしまった私を、翔太は心配するどころか、うっとりしながら見つめていた。
「お前って、俺のことそんなに好きなんだ?」
「……もう、知らない」
「エリカ」
「……」
翔太に背中を向けながら涙を拭っていると、お腹の周りに腕が回ってきて後ろから抱きしめられる。
「嘘だよ」
「はぁ!?」
びっくりして振り返れば、意地悪そうな顔で笑っている翔太が私の頬に唇を押し当てていた。
「元カノじゃない。告白されたことはあるけど、全然好みじゃないから振った。…ストーカーになったのは、多分その逆恨み」
それを聞いた瞬間、私の顔が急速に赤く染まっていく。
「…どうだ。お前に嘘をつかれた俺の気持ち、少しはわかっただろ」