ウソつきより愛をこめて

「寧々、外寒いから。今日も俺の車で行くぞ」

「わーい!」

橘マネージャーは丸の四つ並んだ車のリモコンキーを取り出し、スターターでエンジンをかけている。

夜はもちろん、朝も私と彼のシフトが会う時は、こうやって車を出してくれるのが当たり前になっていた。

最初は断ってたけど、もう逆らうのは諦めている。

先週風邪を引いてしまった私のためでは断じてなく、どうやら寧々の体調を気遣ってのことらしい。

子供用のジュニアシートまでわざわざ買ってしまったらしく、それが鎮座する助手席を見た時は、さすがの私も観念してしまった。

「お待たせー」

「……」

着替えと化粧を終えた私は寧々を連れ、玄関で待っている彼の元へ向かう。

すると橘マネージャーはそこに突っ立ったまま、私たちをじっと見つめていた。

「…んだよそれ。かわ…」

「当然です」

百八十センチ近くある橘マネージャーから見下ろされるとイラッとするけど、自分の百五十センチという小柄な体型はこういうものが似合うから得だと思う。

今日は寧々とおそろいのポニーテールで毛先を緩く巻き、イヤーマフと雪柄のポンチョを身につけていた。

このコーディネイトが可愛いことなんて、仮にも服を売る販売員なんだから、言われなくともわかっている。

「…俺は、寧々のことを言ったんだ」

そう言うなり、橘マネージャーは私に背を向ける。

後ろから見た彼の耳が、少し赤くなってるような気がした。

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