ウソつきより愛をこめて
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「ちょっと、中までついて来ないでっていつも言ってるでしょ」
「もう今更だろ。俺だって、寧々と別れの挨拶ぐらいしたいんだ」
保育園の入口でなんやかんや言い争っていると、由子がニヤつきながら寧々のことを迎えに来る。
「寧々、じゃあママお仕事行ってくるね」
「うん。バイバイっ」
「おい狡いぞ」
ここまで子供が好きだとは、私も正直思わなかった。
屈んで寧々と抱き合っている私を真似て、橘マネージャーも寧々のことをギュッと抱きしめている。
由子や他の保育士さんは、その頬笑ましい光景を見て頬を赤く染めていた。
「ちょっとー、旦那さん素敵じゃない。あんなイケメンな上に子煩悩で」
「……」
いつから旦那になったんだとツッコミたくなる衝動を、私は必死で抑えている。
「最初はなんかワケアリかなって思って聞きにくかったんだけど…。エリカの旦那さん、やっと出張から帰ってきたばっかりなんだって?よかったね~」
「はは…」
この間偶然、橘マネージャーの車で帰ろうとしているところを由子に見られてしまった。
しかも「パパなの?」と聞かれた寧々が、あろうことか頷いてしまって…。
変に否定することも出来ず、嘘が日に日に増えていく。
嬉しそうなのは、橘マネージャーだけだ。