ウソつきより愛をこめて

***

「ちょっと、中までついて来ないでっていつも言ってるでしょ」

「もう今更だろ。俺だって、寧々と別れの挨拶ぐらいしたいんだ」

保育園の入口でなんやかんや言い争っていると、由子がニヤつきながら寧々のことを迎えに来る。

「寧々、じゃあママお仕事行ってくるね」

「うん。バイバイっ」

「おい狡いぞ」

ここまで子供が好きだとは、私も正直思わなかった。

屈んで寧々と抱き合っている私を真似て、橘マネージャーも寧々のことをギュッと抱きしめている。

由子や他の保育士さんは、その頬笑ましい光景を見て頬を赤く染めていた。

「ちょっとー、旦那さん素敵じゃない。あんなイケメンな上に子煩悩で」

「……」

いつから旦那になったんだとツッコミたくなる衝動を、私は必死で抑えている。

「最初はなんかワケアリかなって思って聞きにくかったんだけど…。エリカの旦那さん、やっと出張から帰ってきたばっかりなんだって?よかったね~」

「はは…」

この間偶然、橘マネージャーの車で帰ろうとしているところを由子に見られてしまった。

しかも「パパなの?」と聞かれた寧々が、あろうことか頷いてしまって…。

変に否定することも出来ず、嘘が日に日に増えていく。

嬉しそうなのは、橘マネージャーだけだ。

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