ウソつきより愛をこめて
美月にはそう言ったけど、私は自分の心の中に誰にも言えない矛盾を抱えている。
本当に誰と付き合ってもかまわないし、そのことに関して私に口出す権利はない。
別れてからの二年間、橘マネージャーにだって彼女ぐらいいたと思うし。
…でもその姿を見るのが、たまらなく嫌で仕方ないのだ。
私のことを傷つけたくせに、自分だけが幸せになるのなんて許せないし、祝おうとも思えない。
だから知りたくない。
私の見えないところで、勝手にやってほしい。
橘マネージャーとその彼女が仲良く並んでいるところを見せつけられた自分の姿を想像するだけで、吐き気がしてくる。
東京を離れ地元に帰ってきたのも、やはりこの理由が一番大きかった。
別れてからもう三年の月日が流れて橘マネージャーへの思いは吹っ切ったはずなのに、その気持ちだけは一向に変わる気配がなかった。
「結城」
「…はい、なにか」
「お前、なんか顔色悪いぞ。風邪ぶり返したんじゃないか?」
「いえ。大丈夫です」
黒い瞳がそこはかとなく強い力で私を見つめてくる。
「無理すんな。休憩室で少し休んでろ」
無視して品出しのダンボールを持ってすれ違おうとしたら、彼に手首を掴まれていた。
「なんですか?もう売り場出るから離してください」