ウソつきより愛をこめて

それを言われてしまったら、何も言い返すことは出来ない。

だから嫌なんだ、本部の人間が来るのは。

休むくらいなら売り場に出て、一着でも多く服を売りたい。

サービス残業なんて当たり前の覚悟で仕事に臨まないと、一番になんてなれない。

他の店舗でもみんな同じことをやって売り上げを維持してるのを、橘マネージャーも上の人も全然分かっていない。

ダンボールを奪い取られてしまった私は、悔しくてフレアスカートの裾を握りしめていた。

「…なに拗ねてんだ。まだ文句あるのか」

「別に何も」

「じゃあとっとと休憩室行け。なんなら俺が抱きかかえて連れて行ってやってもいいぞ」

「全力で拒否します」

即座に後ずさった私を見て、橘マネージャーが口元に薄く笑みを浮かべている。

この笑い方は嫌いだ。

まるで私は子供だと、考えていることなんてバレバレだと、心の内側まで全て見透かされているような気分になるから。

「このコート、この店だけ多めに配分するようにバイヤーに頼んだの俺だから。感謝しろよ」

「……!」

最後に狡い言葉を残した彼の背中は、なんだか昔よりも随分遠くなった気がした。

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