ウソつきより愛をこめて
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「橘マネージャー、おはようございますぅ」
「おはよう。えっと…バイトの白鷺(しらさぎ)さんだっけ?」
「うわぁ!まだ数回しか会ってないのに、名前覚えてもらえたんですねぇ。ゆりちゃんって呼んでくれたら、もっと嬉しいですぅ」
あれ、こんな高い声出せたんだって思って聞いていたら、隣で売価変更のシールを作っていた美月から小さく舌打ちが聞こえてきた気がした。
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
カウンターから出て直接お客様の前に立ち、ショッパーに入った商品を渡す。
振り返ると美月の目は般若みたいにつり上がっていた。
「ちょっとエリカ」
「えっ、な、なに?」
「あんたがあんなにゆりちゃんシフトに入れまくったから、毎日不快指数が上がってしょうがないんですけど」
ゆりちゃんの気合の入れ様と橘マネージャーに対するアピールぶりには、私も結構驚かされる。
つけまつげ、いったい何個ぐらい重ねづけしてるんだろう。
もともと大きかった彼女の目は、更に一・五倍くらいの大きさに盛られていた。
「すごいよね…。まぶた筋肉痛になりそう。私だったら瞬きするのも精一杯だよ、きっと」