ウソつきより愛をこめて
「問題はそこじゃないだろ」
「え、そこが一番の問題でしょ」
私なんか、寧々と暮らすようになってからゆっくり化粧できた試しがない。
橘マネージャーがいたら寧々の相手してもらえるけど、それでもほとんど無理だ。
なにせ寧々は女の子だから、私の化粧品にめちゃくちゃ触りたがる。
この前なんかアイライン引いてる時に背中から突進されて、橘マネージャーにかなり笑われ写真まで撮られてしまった。
そういえばあの写真消してもらったか、ちゃんと後で確認しないと…。
「関係ない私でも、見てるだけでこんなに苛々するのに。ねぇエリカ、本当に心配にならない?それとも何?そのポーカーフェイスの下ではとんでもないヤキモチ焼いてんの?」
「え、ちょっと。美月興奮しすぎ」
美月が私の両肩を掴んで、ガクガクと揺らしてくる。
なんで私が嫉妬なんてしなくちゃいけないんだ。
ていうか様子を見てれば、橘マネージャーにその気がないことなんて一目瞭然なのに。
「今月って結構あたしとシフト被ってますよね?橘マネージャーとたくさん会えるなんて、ゆり嬉しいですぅ」
「日を追うごとに忙しくなるから、気合入れて頑張ってね」
その爽やかすぎる笑顔に、ゆりちゃんの頬がぽっと赤く染まった。
どうでもいい相手には、昔からあの表向きの顔で対応するのが彼の鉄則だったりする。
だから地を出してないってことは、多分口説く気がないってことなんだ。