アヤカシたちのお妃候補は人間の女の子でした
手足をじたばた動かして抵抗をしてみても、全く効き目がない。
さすが男の人。力の違いを思い知らされましたよ。
私が無駄ともいえる抵抗をしている間、晴彰さんが掌から真っ赤な炎を出していた。
ってあれ。なにやってんのかな。燃える、燃えちゃう!
「ちょっと、なにやってんですか!?」
私は更に手足をばたつかせる。
いきなり、耳に息が吹きかかるのを感じた。
「ひゃあっ……なにするんですかー!?」
真っ赤な顔して彰さんに怒鳴るけど、彼は何ひとつ表情を変えない。
というより、私の反応を見て楽しんでるみたい。
この人、サディストだ。間違えなく。
「そなたが可愛いからだ。ところで、いい加減ばたつくのをやめたらどうだ。はしたない」
「それは彰さんが離してくれないからじゃないですか」
唇を尖らせて言うと、頭をくしゃくしゃと撫でられた。
嬉しくない。完全に私を子供扱いしてる……。
少なくとも私にはそう感じられるんですけど。
「兄上、亜美様、友也殿。そろそろ向かいます」
晴彰さんが炎をこちらに向けて、真顔で言っている。
その炎をどうするんだ……そしてどうやって向かうんだ。
心の中でツッコんでみる。
その間にも、炎がぼうっと広がっていく。
「きゃああああああ」
私は鼓膜が破れるんじゃないかというほど思い切り叫んだ。