アヤカシたちのお妃候補は人間の女の子でした
 




私たちは一時間くらい歩いて白夜様とかいうやつの屋敷に着いた。

なんかだだっ広い、日本の昔のお城みたいな感じ。

この時代にそんなお城って。

なんて心の中で笑うと、目の前に澄んだ青い瞳があった。


「うわああああ!!」


「……静かにしろ。落とすぞ」


「私、物扱いですか!?」


足をじたばたさせると、舌打ちをして下ろして……いや、落とされた。

──ドカッ。


「なにするんですかー」


彰さんは眉間に皺を寄せ、私の顎を掴んで上を向かせる。

私はとっさに手を振り払った。


「そなたこそ、なにをするのだ」


再び私の顎に伸びてきた手を、私はがっしりと掴む。

私、こう見えても……いや、見た目通り握力が35ある。

だから、多分離されないと思う。

そんな根拠のない自信を持ちながら、彰さんの手を捻ろうとした。

──つもりだったけど、何故か彼の腕の中に埋まってしまう。

え? 神様、どうして私はあなたからこのような扱いを受けるのでしょうか。

私は心の中で神様を恨み、彼を軽く睨みつけた。

彼は意地悪な笑みを浮かべる。


「そのような顔、怖くもないわ」


ふっと笑われ、顎を掴まれた。

抵抗しないようにするためか、私の両腕は彼の手で一つに纏められている。


「ひいいいいいいい! 神様仏様イエス様あああああ!!」


思いついた方々の名前を必死に叫んだ。

叫びながら目をぎゅっと瞑る。

キスされる! 私のファーストキスが奪われるよー。

すると、手の力が弱められ、その手の主は高らかに笑う。


「ははははは! そなたは誠、面白き娘であるな」






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