偽装結婚の行方
なぜ真琴がそれほどまで聞きたがるのか不思議だが、どうせ話すつもりだったから、まあいいか。


「この間、真琴のアパートにいる時、俺、親父さんから呼び戻されたろ? で、帰ってみたらさ……。あ、その前にメールが来たんだ。前に同じ会社にいた河内尚美って子から」

「河内尚美? 聞いた事ない名前ね」

「ああ。総務にいた子で、それまで口を利いた事もないからな」

「それで? メールで何て?」

「うん、それが謎めいた話でさ……」


俺は、尚美から話を合わせてほしいと言われた事、訳が分からず家に帰ると、尚美が両親と共に家に来ていた事。そして尚美に赤ん坊がいて、その子の父親は俺だと言われた事を真琴に話した。


「それで、あんた否定しなかったの?」

「ああ。メールで頼まれてたから、取り敢えず話を合わせておいた」

「ば……」


真琴は“ば”と言って目と口を大きく開けたまま、しばらく俺を凝視した。


「な、何だよ?」

「バッカじゃないの!?」


真琴から激しくなじられてしまった。しかも店内全体に聞こえるぐらいの、大声で……

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