偽りの愛は深緑に染まる

 でも不思議と、悪い気はしなかった。

「お前なんか頼めよ」

「はあ……」

 言われるがままに、適当なものを注文する。

 佐渡山はスマホをいじりだした。いい懸賞がないかどうか調べでもしているのだろう。

 人遣いが荒く、マイペースで俺様で弱味につけこむ。こんな性格でさえなければ、好意を抱いていただろう。向かいに座る佐渡山は洗練された空気を持っていて、計算されたように綺麗な顔立ちだ。

 程なくして料理がやってきた。

「ビールお願いします」

 佐渡山が注文する。そういえば、飲みにきたんだった。

「私も一つ」

 梨沙も注文し、割り箸を取った。親子丼は結構ボリュームがあり、甘辛い味がきいていてとても美味しかった。

 半分ほど食べた頃、突然佐渡山が質問を投げかけてきた。
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