偽りの愛は深緑に染まる
風呂からあがり、さっぱりした体と心で部屋に戻ると、テーブルの上のスマホが鳴った。

電話がかかっている。時刻は21時。誰だろう? 静岡に住む家族だろうか?

画面を見た梨沙は、スマホを落っことしそうになった。

「うそ、光流さん!?」

なぜ。今まで掛けてきたことなんかほとんどないのに。

しかし、何故も何も切れる前に出るほかない。

梨沙はおそるおそる通話ボタンを押した。

「……もしもし」
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