その結婚、取扱い注意!
「お、お待たせいたしましたっ! アナゴの天ぷらです!」

店員の若い女の子はテンパった声で言うと、アナゴの天ぷらの盛られたお皿をテーブルの上に置き一礼して足早に去って行った。

「やべっ、今の反応聞かれてたな」
「もう! 湊のばかっ」

隣にいたら肩を思いっきり叩いていたところだ。

「あれぐらいで真っ赤になるなんて、結婚前のミミみたいじゃないか?」

まだからかう気、満々らしい。
べーっと舌を出して、アツアツのアナゴの天ぷらをせっかくだから取り皿に取って食べる。

湊は笑ってビールを飲んだ。

「で、何か話があって誘ったんじゃないのか?」

先ほどのからかっていた雰囲気は一瞬にして変わった。

真面目な眼差しで私を見る湊に心臓がドクッと跳ねた。

鋭い、鋭すぎるよ。

< 114 / 155 >

この作品をシェア

pagetop