その結婚、取扱い注意!
「湊っ!」
「もうー湊ぉー」

美里ママの声が響き、私たちだけを乗せたエレベーターは上へと向かった。

「湊、ひどいよ。美里ママが先に待ってたのに」
「たまにはからかってやらないとな」

湊の口元はそう言いながら緩んでいた。

私たちが部屋に入ってから、30分ほどしてインターホンが鳴った。

「美里だろ」

インターホンのモニター画面を見た私は湊に頷いて出る。

時刻は22時を回っていたけれど、美里ママの感覚ではまだまだ宵の口なのかもしれない。

美里ママは30センチほどの木彫りの像を抱えて入ってきた。

「もうー湊ったら酷いじゃないのよー」

キッチンにいる湊に文句を言いながらソファにドカッと座る。

「どっちにしろ来るつもりだったんだろ」

湊は缶ビールを2本持って来て、美里ママに1本渡す。

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