その結婚、取扱い注意!
「タカは……?」
「あ、呼び出されて行っちゃいました」
「そうなんだ~ ざ~んねん。せっかく少しだけでも一緒に過ごせるかと思っていたのに」

つやつやにリップグロスが光る唇。

私なんかよりも女子力高いのに。あんな奴、最低よ。きららさんに言いたいけど……。

好きな人の悪い事なんて聞きたくないんだろうな……。

「あ、ミミちゃん、嫌な思いしちゃった?」
「えっ?」

私の考えていることがわかったのか、きららさんの悲しそうな瞳でじっと見つめてくる。

「そ、そんなことないから」
「どもるなんて怪しいな。わかってるの。タカはアイドルグループの一員だし、私みたいなおネエと付き合ってるわけにはいかないって。幼なじみだったから、私のことをよくわかってくれているだけ」

周りの底抜けに明るい雰囲気とは反対に、きららさんの顔がどんより沈む。

「きららさん、元気出して。彼、わざわざ顔を見に来たんじゃないかな?」

私はきららさんの気分を盛り上げてあげたくて慰める。

「そうかなぁ……」
「そうですよ」

大きく頷きながら言うと、きららさんがふっと微笑んだ。

いつものようなカーネーションが咲くみたいな笑顔じゃなくて、タンポポみたいにひっそりした笑顔だ。

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