その結婚、取扱い注意!
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新年会が終わって渋谷の駅に行くと、ロングタイプのピーコートを着た湊が待っていた。
贔屓目に見ても、湊はカッコいい。

顔の筋肉が緩みそうになる。頬を軽く両手で叩いて湊に近づいた。

「お待たせっ。湊、ご飯食べた?」
「軽く食べたよ。で、どうして駅で待ち合わせなんだ?」

湊はぐっと顔を私の顔に近づける。吐息が白く見える。

「なにがいけないの?」
「俺に行かれたくなかったとか?」
「そ、そんなわけないじゃん! それよりね? 早く美里ママに様子を見に行かなきゃ」

湊が冗談で言っているのはわかっている。もっと嫉妬してほしいところだけれど、さらっと流し、明菜さんからのメールの話をした。

「あいつ、そんなに自分に自信があったのか?」

湊は理解できないと言うように首を横に振る。

「もうっ、湊っ」

私はその端正な顔に苦笑いを浮かべる湊を睨み、腕を掴むと歩き出した。

電車の中は混んでいて、押されてよろける私を湊が引き戻してくれる。

「大丈夫か? 満員電車、ひさしぶりだろ?」
「うん。大丈夫」

湊の腕に引き寄せられ、守るように立たれているとデートをしている気分になる。

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