その結婚、取扱い注意!
その日の夕方、私はバタバタと帰り支度をして会社を出た。

アルバイト契約は朝の10時から18時までだけど、今日は要領が悪くて19時までかかってしまった。
パスポート申請書を作成するのに時間がかかったせい。

久しぶりに働いて疲れ果て、目の奥がズキズキしている。
すぐにベッドにもぐりこんで眠りたいくらい眠く、電車の中で立ちながら目を閉じていた。

玄関のドアを開けると、湊のビジネスシューズが目に入る。

湊、今日は早い。

湊がすでに帰っていることに焦る私。

「た、ただいまー」

いつもより早い湊に、パンプスを脱ぎながらもっと遅くてもいいのに……と思う。
そうすれば湊が帰ってくる頃、ちゃんと夕食を用意して待っていられた。

「お帰り」

湊がリビングから顔を覗かせる。

「ただいま。今、夕食作るからね!」

疲れたように見えないように、明るく言う。

「お疲れ。カレー作っておいたよ」
「ええっ!?」

そう言えばカレーの匂いが……。

「湊……」

湊の心遣いに感動して言葉が出てこない。

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