その結婚、取扱い注意!
「もしかして感動してる?」
「うん。感動してる。湊、ありがとう」

素直に認めると、湊は照れ臭そうに笑い、それから私の顔を見つめた。

「疲労困憊って顔してるぞ。早く手洗ってこいよ」
「あ、うん」

洗面所へ行き、手洗いとうがいをしてリビングに戻ると、テーブルに用意されていた。

ランチョンマットにカレー用スプーン、グリーンサラダにサラダ用のフォーク。
グラスに水まで注がれている。

「今日は甘やかしてやるから席に着いていろよ」

キッチンの向こうから有無を言わさせない雰囲気に、私は大人しく席に腰を下ろす。

カレーライスのお皿を2つ、両手で持ってきた湊が戻ってくる。

カレーライスが目の前に置かれた。

今気づいたんだけど、湊は私のピンク地でブルーが鮮やかな花模様のエプロンをつけていた。
しかもそれは胸や裾にフリルがあって……。

封印された紅緒さんを思い出し、吹き出すようにして笑ってしまった。

「お前、いきなりなに笑ってるんだよ」

エプロンをつけていることを忘れているのだろう。
湊は訳が分からないといったようで、私を見る。

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