恋が運ばれて
彼は、島に建つ10ヶ所のホテルの中でも一番巨大なホテル

「ビッグ・ウイング・キャッスル」の最上階のスイートで私を待っていた。

その白亜の建物に私は目をやられた。

眩しくて、真っ青な海とのインパクトが強烈だった。

「紗由、久しぶり!ヘリに酔わなかったか?」

「茂さん、もしかしてこの数ヶ月、遊び三昧だった?」

「バカ言うなよ、仕事三昧だ。

アイツら、俺に24時間働かせていい気なもんだ。」

「そうなの?思い切り働いていたわけね?」

「俺の性分じゃない。ここにはパラグライダーができる山がないんだ。」

「残念ね。」

「だから、造った。」

「造った?」

「我ながらいい仕事をしたよ。」

私はバルコニーへ出て、外の空気を吸った。

「別世界ね、空気もおいしくて新鮮だわ!」

「紗由、俺は待ちに待ったんだ。」

彼は私を後ろから抱き締めた。

私は、髪に鼻先をうずめて大きくため息をつく彼に言った。

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