冷たい上司の秘密の誘惑
そのキスのせいか、はたまた熱のせいか、

朦朧とする意識の中、考えるのは、仕事の事より、

やっぱり美穂の事ばかりで・・・

オレは、力が入らない手を伸ばし、『如月』の番号を呼び出した。


『おう、病人どうした?』

「・・・」

いつものように、軽いノリで電話に出た如月。

何でこんな奴が、埼玉支社の専務になれたのか?

まぁ、仕事はこの会社の中では、よくできる方だろうが。


『何なんだよ、今、仕事中なんだけど?』

「あぁ、悪い。…他でもない、」『仕事の事なら気にするな、』

言いかけてる時に、口をはさんだ如月。

…全く、そんな事で電話してきたんじゃないって。

と、思わず突っ込みを入れてしまった。(もちろん心の中で)


「違う、美穂の事だよ」

『あぁ・・・そっちね、で?美穂ちゃんがどうかしたのか?』


「アイツの事が、心配なんだよ。オレが会社を休んでる事を知ったら、

美穂に何かするかもしれない・・・だから」


『お前も心配性だな・・・まぁ、オレの彼女が同じ目に遭えば、

お前と同じことで心配してるんだろうけど・・・

大丈夫だ、オレの任せとけ。オレのhoneyに、傍にいろって言っとくし、

何かあれば、逐一に電話くれるように頼んどくよ。

オレはあいにく、美穂ちゃんの上司じゃなくなったからな。

傍にはいてやれない』


「いやそれは仕方のない事だし・・・

迷惑かけて、すまない」


『いいよ、ダチの頼みは聞くのが当たり前だからな。

じゃあ、オレは仕事に戻るよ』


そこで電話を切った。
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