冷たい上司の秘密の誘惑
11.守るのは上司の役目?
「終わった~」

思わずそんな声が出て、椅子に座ったまま、

背伸びをした。

清々しい気持ちになり、疲れなんてどこかに吹き飛んだ。

・・・帰ったら、篠田部長が私を待っている。

熱が下がっていたら、美味しい料理を食べさせてあげよう。


そんな事を思いながら、帰り支度を始めた。


「お疲れ様」

「おつかれさまでし・・・た」

その言葉に振り返った私は、顔が、体が硬直した。


数メートル先には、一番会いたくなかった人物の姿。

ほぼ怪我は治っていたものの、口の端は、

まだかさぶたが残っていた。


「・・・ここ、webデザイン部じゃありませんよ?」

鞄を握りしめ、そんな事を言ってみる。

・・・頭の中でキケンのシグナルが何度もこだまする。

逃げなくちゃ。…助けてくれる人は、どこにもいない。


間隔を狭めることなく、私は三浦さんから離れていく。

そしてドアに向かって、ゆっくり後退していく。

そんな私に、三浦さんはジリジリト近づいてきた。


「今日は、邪魔者はいないみたいだね?

まだ、風、治らないんだ?」

そう言ってニコッとした三浦さん。
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