冷たい上司の秘密の誘惑
そう言った美穂は、布団を深くかぶってしまった。

オレは、布団の上に自分の手を置いた。

それに驚いて、布団がビクッとなった。


「…じゃあ、こうしよう。年末、すべてにかたがついたら、

もう、誰にもこの恋を秘密にするのは辞める。・・・いや、

美穂が嫌じゃないなら、オレと結婚してくれ…式は先になるかもしれないが、

婚姻届を出して、一緒に住もう・・・一秒だって、離れているのは嫌だから」


これは口約束でしかない。

でも、この言葉にウソ偽りはない。

これが、オレの今の気持ちだ、美穂に対する誠心誠意を見せたツモリだった。



…美穂の答えは?


「半年間、ずっと、一度も会えないんですよね?」

「・・・たぶん」


「会いたくなっても、会ってくれないんですよね」

「…そうかもしれない、これから年末にかけて、もっと忙しくなるから」


「…我慢できないかもしれません」

「・・・」

美穂の言葉には、『別れる』と言う言葉が、入り混じっているように聞こえた。


「…それでも、私なりに頑張ってみます」

「…美穂」

別れると言う言葉が出るかもしれないと思っていた。

…でも、違った。
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