冷たい上司の秘密の誘惑
・・・仕事に没頭することで、

篠田部長がそこにいる事を忘れようと必死になる。


・・・でも、私の体が、頭が、そうさせてはくれない。

・・・なんで?何でこんな小さな子会社に来てるの?

・・・なんで、本社で昇進してないの?

…すべて諦めたのは、篠田部長の為だった。

頑張っている篠田部長に迷惑をかけないように、

左遷を受け入れたのに、何でこんな所で部長なんかやってるのよ。


「…君、真田美幸さん、だよね?」

「は、はい、なんでしょうか?」

…私の横に座って仕事をしてる美幸に、篠田部長が声をかけた。

美幸は、どう対応していいかわからず、困惑の表情。


私は絶対そちらを見ないように、パソコンに集中する。


「前に電話くれたのに、切れてしまったんだ。

申し訳ない事をしたよ・・・何の用事だったのかな?」

「エ、いや、あの…なんでもありません」


美幸は私をチラチラと見ながら、そう答えた。

「じゃあこれから、宜しく、何かと教えてもらう事もあるだろうけど。

あ、それから、プライベートでも、如月君とも仲良くさせてもらってるんだ。

そちらの方もよろしく」


「あ、・・・はい」

篠田部長は、私に何を言うでもなく、それだけ言って、

自分のデスクに戻っていった。
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