極上エリートの甘美な溺愛
「三年も付き合ってたの?」
「……玲華は鈍すぎるの。今回のピアスも含めて10個はあの車に落としたもん」
「気付かなかった……」
「ね。玲華が気付いていない事が世の中にはいっぱいあるの。将平くんの事も、もう一回ちゃんと考えてみれば?」
「うん……」
「玲華だって、将平くんのこと、好きなんでしょ?」
「……うん」
沙耶香に励まされるような言葉をかけられ、玲華はそれまで迷いの渦中を漂っていた心が少しだけ軽くなったような気がした。
将平との関係で、自分が知らないものが、もしかしたらあるのかもしれない。
将平が『Rin』を開発するときに玲華が以前口にした言葉を反映させて商品にしてくれたことも、知らなかった。
聞かされた今でも、信じられないほどの嬉しさだけれど。
そしてなにより、将平が自分を拒んだ理由の切なさ。
その切なさは自分にも当てはまるものだと知らなかった自分が恥ずかしくもある。
その何もかもを、玲華は知らずに過ごしてきた。
「あ、拓人の『Rin』ね、今月末に納車なの。助手席に一番に乗るのは私だからね。たとえ玲華が仕事で一番の相棒だとしても、玲華にそれは譲らないよ」
ふふっと笑う沙耶香の声に、玲華は少しだけ気持ちが上向きになったのを感じた。
「もう、ピアスを転がすのはやめてよね」
お返しにとばかりに呟く玲華と沙耶香は顔を見合わせ、笑い合った。