極上エリートの甘美な溺愛
「好きな女に、何の恥ずかしさもなく……そこまであからさまに思いを言えるのは羨ましいな。
沙耶香のためだとはいえ、社内恋愛の面倒くささが嫌で距離をとっていた自分が、なんだか……。いや、それはいいんだけどな」
篠田はこれまでの自分の恋愛を振り返り、沙耶香にもう少し熱く接してやれば良かったと、苦笑する。
たとえ自分との関係が社内に知られ、そのことによって沙耶香がつらい思いをするとしても、ちゃんと守ってやる自信ならある。
心無い言葉や嫌がらせによる心の痛みを取り払うくらい、愛する女のために、してやればよかったと。
周囲を気にすることなくその熱い思いだけで今も玲華の腕を掴んでいる将平を見ながら思う。
篠田は自分の評判と立場をしっかりと受け止め、そのことによって沙耶香が社内で仕事をしづらくならないようにと、注意を払ってきた。
篠田に好意を寄せる女性が少なくないことを自覚し、そんな女性たちからの敵意が沙耶香に向けられないようにと、ある程度の距離をおいて付き合ってきた。
沙耶香が、そんな状況を理解しながらも寂しく感じていたことに気付いていたが、オープンな付き合いは避けていたが。
もう、そんな時間は必要ない。
将平のように、何を勘違いしているのかわからないが、それでも自分が欲しいものを手に入れる為に熱くなれる格好悪さが羨ましい。
誰もが欲しがる一歩を踏み出すための勇気を将平から見せつけられた篠田は、きっぱりと言った。
「結婚して沙耶香を守ることにしたから、葉山も相談にのってやってくれ。そして、お前もその熱いオトコに守ってもらえよ」
「し、篠田さん、熱いなんて……」
将平に腕を掴まれたまま、それを振り払おうともしない玲華をからかうように笑うと、篠田はちらり腕時計を見て運転席のドアを開けた。
「俺は、先に展示場に行ってるから話つけて後からタクシーで来い。あ、沙耶香には誕生日に驚かせるから、プロポーズの事は機密事項で頼む」
「あ……了解です」