極上エリートの甘美な溺愛



困ったように将平と篠田を交互に視線を向けながらそう答える玲華に小さく頷くと、篠田は口元を引き締め将平に向き直った。

「くれぐれも、こいつ、泣かせるなよ」

「っ、当然です」

篠田は低く威圧するような声で将平を見つめると、さっさと車に乗り込み、展示場へと車を走らせた。
 

取り残された玲華と将平は、ぎこちなく視線を合わせた。

篠田が目の前にいる時には感じなかった緊張と照れくささを覚え戸惑う将平と、何故か少しばかり強気な表情の玲華。

目の前で焦りを見せる将平の様子を見ているうちに、玲華の気持ちは落ち着いてきた。

将平に掴まれた腕の温かさもその気持ちを助長し、そして、今日一日将平のことで悩んでいた反動もあるのか、玲華は意地悪な表情を浮かべて将平の顔を覗き込んだ。

「私のこと、純太に譲れる程度にしか好きじゃなかったんだね」

わざと、鋭い視線を向けた。

純太とのことを誤解していた将平の気持ちもわからないでもないが、今回篠田とのことまで同じように勘違いをしていた将平に、少しだけ怒りを見せる。

もちろん篠田は素敵な男性であり、同性の将平から見ても憧れを抱いたり羨望の気持ちを持ってもおかしくはない。

それでも。

篠田には恋人がいると何度か話していたはずなのに、玲華の言葉を信じていなかったのかと思うと気持ちも落ちてしまう。

「あの頃は、純太から玲華への気持ちを先に教えられて、自分の気持ちを言えなくなって身動きが取れなくなってしまって……言い訳だな。ごめん」

将平は玲華の腕を掴んでいた手をすっと放すと深く頭を下げた。


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