極上エリートの甘美な溺愛
二次会の打ち合わせはそこそこに、単なる飲み会となったテーブルは、主役の香里と誠を中心に盛り上がっていた。
二人の出会いや結婚までのいきさつを聞きながら、時々茶々を入れたり冷やかしたり、お酒がほどよく回った雰囲気の中、笑いは絶えなかった。
初めて顔を合わせるメンバーばかりだとは思えないほど互いに親しくなり、きっと二次会は成功するだろうと誰もが安心していた。
その中で、緊張感が拭えないまま酔えずにいる玲華は、その理由である将平をちらちらと見ながら、口をとざしていた。
海東将平。
高校時代、お互いの友人同士が付き合っていたことがきっかけで親しくなり、それぞれの友達を交えたメンバーで遊びに行ったり、学園祭で一緒に出し物をしたりと同じ時を過ごした仲間の一人。
バスケ部のキャプテンで成績も良かった将平は、顔と人当たりのよさも手伝って女の子からの人気はダントツだった。
玲華の記憶にあるだけでも、片手では足りない数の女の子が将平に思いを寄せていた。
人づきあいが苦手で友達の後ろで笑っているだけの玲華が、そんな将平と同じ時を過ごせる状況は本人にも信じがたく、たとえ同じグループで動いていても個人的に親しくなることはなかった。
そして、3年生の春、玲華と将平は同じクラスになった。
とはいえ、とりたてて二人で親しく話す機会もないつかず離れずの関係は、その時も続いていた。