『世界』と『終』 ——僕がきみを殺したら——
カウンターから本を差し出した司書教諭の女性が、なにか、と言いたげな視線をむけている。
どんな本が人気なのかと思って、僕はできるだけ感じのいい笑顔をつくって説明する。
司書教諭のまなざしから、ひとまず懐疑の色は薄らいだ。
下がりぎみの眉をした、地味という表現が実に似合う女性だ。
しゃべり口調も物腰もひかえめだが、理由もなしに過去の貸し出しノートを見せてはくれないだろう。
不審がられないうちに、借りた本を手に図書館を辞した。
なれるなら、司書教諭という職業はわるくなさそうだと思う。
数人の女性司書たちは、作業用の紺無地のエプロンをつけ、存在を主張することなく業務にあたっている。
退屈なのか、司書教諭の一人がカウンターの中ですばやくイヤホンを外して、エプロンのポケットにしまうのを見かけたことがある。iPodでもしのばせているのだろう。
刺激はないだろうが、ストレスも少なそうだ。
どんな本が人気なのかと思って、僕はできるだけ感じのいい笑顔をつくって説明する。
司書教諭のまなざしから、ひとまず懐疑の色は薄らいだ。
下がりぎみの眉をした、地味という表現が実に似合う女性だ。
しゃべり口調も物腰もひかえめだが、理由もなしに過去の貸し出しノートを見せてはくれないだろう。
不審がられないうちに、借りた本を手に図書館を辞した。
なれるなら、司書教諭という職業はわるくなさそうだと思う。
数人の女性司書たちは、作業用の紺無地のエプロンをつけ、存在を主張することなく業務にあたっている。
退屈なのか、司書教諭の一人がカウンターの中ですばやくイヤホンを外して、エプロンのポケットにしまうのを見かけたことがある。iPodでもしのばせているのだろう。
刺激はないだろうが、ストレスも少なそうだ。