『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——
図書館を出てすぐの薄暗いホールに、西森がたたずんでいる。
闇によりそっているようだ。


断じて言うが、僕は西森に行動予定を告げていない。



「収穫はありましたか?」

「あの本を借りた記録は見あたらなかった」

「なかったことが分かったのも、収穫かもしれませんね」


西森の言葉づかいはイマドキとはほど遠いが、これが彼女の標準仕様だ。


「終さん、ホームセンターや電器屋さんに行ってみませんか?
犯人もおそらくそうしたでしょうから」



爆破犯はいまだに捕まっていない。

現場の遺留品から、犯人を特定できる手がかりは見つからなかったということだ。

犯人は大量生産されている既製品を購入して、爆弾を製造したのだろう。



爆弾の製造に興味はないが、犯人の行動をなぞってみるのも面白いかもしれない。
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