『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——
僕も腰をあげて、西森の背に近づく。

とん、と背を押すかわりに、並んで同じように腰をおろした。

僕と彼女のあいだは、こぶし三つほどあいている。

目の前には、ひとの体重をささえるものはなにもない、まっさらな空間がある。
たしかにいい眺めだ。
靴を落とさないようにだけ、気をつける。


西森は隣で、ゆっくり足をぶらつかせる。

膝下には、たやすい死が広がっている。そこにあえて身を落とす積極的な理由がないだけだ。


西の空から茜色がしりぞき、濃い藍色、そしてすずりに墨を溶いてゆくような黒色へ、その場所をゆずってゆく。


天然のプラネタリウムの下、西森とただ時間の流れに身をゆだねた。
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