Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「でも、なんで私達に?」
 こういう話なら、職場で報告というか発表すればいいことなのに。

「私が頼んだの」と野沢さんが答えた。
「匠はね、お互い仕事を優先しているんだから、焦って結婚することないって、ずっと言ってたの。でも、先月にプロポーズしてくれて、うれしかったんだけど、何で急にと思って。理由を聞いたら『職場で最近付き合いだしたのがいて、2人とも忙しいのに協力しあって上手くやってるんだ。もう、夫婦みたいでさ。俺たちも、そうやって上手く仕事と家庭を両立できると思う』って。だから匠の結婚観を変えた2人に会ってみたくて」

 私も涼太も、なんと答えればいいか分からず、お互いをチラチラ見て、ビールを飲んだ。松下さんは頬杖をついて、その手で口元を隠していた。野沢さん以外、全員照れているらしい。野沢さんは相変わらずふわふわした笑顔を浮かべていた。

「お待たせいたしました」
 ちょうどいいタイミングで女将さんが料理を持ってきてくれた。
 テーブルに並べられた小鉢を見て、松下さんが「食べるか」と言う。
「そうですね。いただきましょう」と私が言うと、それぞれが小鉢を食べ始めた。
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