Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「そうだよ。中野先輩は大学生の頃、付き合ってたよ」
 私が涼太の背中に向かって言うと、私の顔も見ずに「そう」と言った。
 涼太の背中から怒りみたいなものが見える。それなのに、何も言わずにそのままキッチンへ行こうとしている。

「言いたいことあるなら言えばいいんじゃない」
「別に、もうないよ。元彼だってわかったし」
 こっちを見もしない涼太にイライラして、涼太の腕を掴んでこっちを向かせる。

「言いたいことあるんでしょ」
 私の顔を見ながら、怒りを露わにした声で「ない」と言った。
 嘘を吐いた自分が一番悪いのに、口から最低な言葉が出てきた。

「何で私が中野先輩のこと黙ってたか、わかる?」
 腕を掴んだまま、涼太を見上げた。
「なんでだよ」

「涼太、私が中野先輩の名前を出すたび、仕事で一緒にいるのを見るたび、すごく嫌そうな顔してるから。最初はヤキモチかなと思った。でも、それが酷くなって、私と中野先輩のこと疑ってるのかなって思った。変な誤解をされても嫌だったから言わなかったの」

 涼太は私から目線を逸らし「別に疑ってないよ」言った。涼太の嘘を初めて聞いた。
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