Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 月曜日、仕事に行くのが嫌だった。こんな私用で仕事を休む訳にもいかない。気が重いまま、会社へ向かった。

「おはようございます」
 一番乗り松下さんに向かって挨拶をする。良かった、涼太はまだ来ていない。ホワイトボードを見ると、涼太に外回りはなかった。そして、私も外回りはない。

「佐伯、どうした。顔色悪いぞ」
「そうですか? そんなことないと思いますよ」
「最近、仕事が立て込んでいるようだけど、ちゃんと休めてるか?」
「はい。昨日は1日、爆睡でした」
 本当だったら、涼太と部屋でのんびり過ごしていたはずだった。
「そうか。お、杉山、おはよう」
 ドアの開く音と共に、涼太の足音が聞こえた。

「おはようございます」
 横を通り過ぎた涼太に「おはよう」と普通に言ってみた。耳に届いたのはざらざらした「おはよう」だった。
「おはよう、ございます」
 涼太からは硬い挨拶をもらった。

 私と涼太を交互に見た松下さんがやれやれという顔をしている。大方の私達の状況を察したのだろう。


 それから私と涼太は仕事に関すること以外は話さなかった。メールも電話もなくなった。これが社内恋愛じゃなければ、自然消滅の道を辿るだろうけれど、毎日、顔を合せていれば、そうはいかない。

 まるで小学生の喧嘩みたいに、私達はずるずると引き摺っていた。

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