Sweet Room~貴方との時間~【完結】
婚約
姿見の前で、もう3回くらい身だしなみをチェックしている。スカートの丈、ストッキングは伝線していないか、マスカラは大丈夫か、隈は上手く隠せているか、落ち着いた感じに見えるか。大丈夫と思っても、大丈夫じゃない気がする。
「奈央美、そろそろ行こう」
洗面所から出てきた涼太が、私の後ろに立った。
「ねえ、これで大丈夫かな?」
「うん。シンプルで落ち着いた感じがあって、奈央美らしくていいよ」
「本当?」
「本当。奈央美も少しわかったでしょ。結婚相手の親に会う緊張感」
私は無言で頷いた。先月、私の両親に会うとき、涼太はすごく緊張していて、そこまで緊張しなくてもと思っていた。でも、自分がその立場になると良く分かる。
今日は初めて涼太のお父さんと会う日。涼太のお父さんは単身赴任をしている。仕事も忙しく、なかなかこっちに帰って来られないらしい。ただ、息子が結婚相手を紹介したいということで、忙しい合間を縫って、帰って来ることになった。
私としては涼太のマンションで、手料理をごちそうという形にしたかった。だだ、とんぼ返りするお父さんと、少しでも話す時間を長くするため、東京駅の近くにある料亭で会うことになった。
「そんなに緊張することないって。うちの父親は結構気さくな人間だから、大丈夫だって」
「そうだね」
涼太の運転で、予約をした料亭に向かった。
「奈央美、そろそろ行こう」
洗面所から出てきた涼太が、私の後ろに立った。
「ねえ、これで大丈夫かな?」
「うん。シンプルで落ち着いた感じがあって、奈央美らしくていいよ」
「本当?」
「本当。奈央美も少しわかったでしょ。結婚相手の親に会う緊張感」
私は無言で頷いた。先月、私の両親に会うとき、涼太はすごく緊張していて、そこまで緊張しなくてもと思っていた。でも、自分がその立場になると良く分かる。
今日は初めて涼太のお父さんと会う日。涼太のお父さんは単身赴任をしている。仕事も忙しく、なかなかこっちに帰って来られないらしい。ただ、息子が結婚相手を紹介したいということで、忙しい合間を縫って、帰って来ることになった。
私としては涼太のマンションで、手料理をごちそうという形にしたかった。だだ、とんぼ返りするお父さんと、少しでも話す時間を長くするため、東京駅の近くにある料亭で会うことになった。
「そんなに緊張することないって。うちの父親は結構気さくな人間だから、大丈夫だって」
「そうだね」
涼太の運転で、予約をした料亭に向かった。