Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 車の中では、緊張していて、涼太の話に「うん」以外の返答をすることができず、それをいいことに、涼太は私で遊び始めた。

「奈央美、今夜、ホテルに泊まろうか?」
「うん」
「明日も休みだし、夜はなにをしようかな?」
「うん」
「お風呂は一緒ね」
「うん」
「奈央美が上に乗ってくれる?」
「うん」
「今日の奈央美はかわいいな」
「うん」
「かわいすぎて、1秒も離れてたくないな、トイレも一緒ね」
「うん。……はあ?」

 助手席で大声を上げた私を見て、涼太はケラケラと笑いだした。

「奈央美、面白過ぎる。全部、冗談だよ。あ、かわいいって言う部分は本当ね」
「もう」

 思わず大声を上げたせいで、思考回路が復活した。いくらなんでも頭の中、真っ白になり過ぎだよね。ちゃんとしないと。それに宏実さんも来てくれるんだし、そこまで緊張する必要もないのかな。

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