サクセスラブを この手に
社長室の手前には社長秘書が控えていた。

白髪混じりの髪を後ろにキュッと結い上げ

濃紺のスーツが有無を言わせない厳しい雰囲気で

秘書の中の秘書という女性だった。

「どうぞ、こちらへ。」

私達は彼女の後ろを歩いた。

彼女がコンコンとドアをノックすると

「入りなさい。」と社長の声がした。

「失礼します。津川様と原田さんがみえました。」

秘書は私達を中へ通すと会釈をしてドアを閉めた。

社長はデスクの向こうから声をかけた。

「こちらに来なさい。君は見たところ大丈夫そうだね

責任者として詫びを言いたい。迷惑をかけて申し訳けなかった。」

「い、いいえ、もう大丈夫ですので。」

なーに、この社長は?

さっきと全然違う人格じゃないの?

猫の皮をかぶっているわけじゃあるまいしと私は思った。

「原田くん、君は津川さんとは知り合いかな?」

「はい、高校の同級生でした。」

「そうか、偶然だな。」

「はい、驚きました。」

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