クリスマス残夢
彼の声を聴いてる間、胸が高鳴っているのがわかる。
注意して意識を集中していないと仕事のことを聞き逃して、彼の声にばかりに気を取られてしまう。
この感情は何だろう。
私は、何を望んでいるんだろう。
あなたとの不満から逃れたいからと、私は本気で足を踏み入れたいと望んでしまっているのかもしれない。決して許されることじゃないのに。
これは、ただの気の迷いでしかない。
彼と電話をしながら、押し寄せる気持ちを堪えるのに必死になっていた。
彼にだって、彼女がいるかもしれない。
私には子供がいるし、家庭がある。
でも、社内で彼の姿を見つけると飛び出してしまいそうになる。
思いきって、食事に誘ってみたい。
一度だけなら問題ないかもしれない。
但し、彼が誘いを受けてくれるかはわからない。もし彼が、私に家庭があることを知っていたら?
誰が聞いても、私はイヤらしい女でしかない。