クリスマス残夢
「ママ、サンタさんがお勉強の本をくれたよ。帰ったら見せてあげるね」
保育所からの帰り道、下の子が嬉しそうに話してくれた。手を繋いで並んで歩きながら、私を見上げた笑顔に胸が熱くなる。
下の子がサンタさんに頼んだのは絵本だったけど、私はひらがなの練習帳を買って枕元に置いた。希望した物ではなくても、サンタさんからプレゼントを貰えたこと自体が嬉しかったらしい。
私は子供たちが起きる前に家を出たから、プレゼントを手にした時の子供たちの反応を知らない。
よかった、喜んでもらえて。
笑い返したら、下の子が繋いだ手を引っ張った。
「ママはサンタさんに何をもらったの?」
ひゅうと冷たい風が駆け抜けてく。
頬が、耳が、ぴりりと痛い。
胸の奥で、ぞわりとする感覚。