レインボーウォッチャー
雨上がりの空に願う事
―――出ろ、出ろ。
あたし、渡辺澪(ワタナベ ミオ)は、雨上がりの澄んだ空を、見上げていた。
家の近くの小さな公園の砂場に、1人で立って。
18歳であるあたしが、ずぅっと小さな公園の砂場に立っているなんて馬鹿らしい。
けど、あたしには立ち去る意欲なんてない。
―――出ろ、出ろ。
さっきから何十回も祈っているというのに。
一向に空に架かる気配を見せない虹。
―――お願い、出てよ。
必死に願っているというのに。
空は、虹は、神様は、なんて薄情なんだろう。
―――――出たら、出てくれたら、あたしは、きっと、足を踏み出せるから。
だからお願い―――出て、虹。
< 1 / 8 >