レインボーウォッチャー
雨上がりの空に願う事






―――出ろ、出ろ。




あたし、渡辺澪(ワタナベ ミオ)は、雨上がりの澄んだ空を、見上げていた。


家の近くの小さな公園の砂場に、1人で立って。



18歳であるあたしが、ずぅっと小さな公園の砂場に立っているなんて馬鹿らしい。


けど、あたしには立ち去る意欲なんてない。






―――出ろ、出ろ。




さっきから何十回も祈っているというのに。


一向に空に架かる気配を見せない虹。





―――お願い、出てよ。



必死に願っているというのに。


空は、虹は、神様は、なんて薄情なんだろう。







―――――出たら、出てくれたら、あたしは、きっと、足を踏み出せるから。





だからお願い―――出て、虹。




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