過保護な妖執事と同居しています!
お願いしたのもそれを撤回するのもザクロだから、代償を支払うのもザクロ。理屈はわかるけど、自分じゃないのが辛い。撤回を望んでいるのは私なのに。
それでもザクロにいて欲しい。彼が何かを失うなら、私がそれを補えばいい。
あんまり時間はないようだ。雲の中から現れた大蛇は、合図を待つかのように、清司の頭上で円を描くようにぐるぐると回り続けている。
私は意を決して、ザクロに呼びかけた。
「お願い、ザクロ。誓約を撤回して」
「もう決めたことです。私が誰かを傷つけて頼子が泣くのを見たくはありません」
即答することないじゃん。本当に私の言うこときかなくなったんだね。
私がザクロを必要とすればするほど、依存度が高まりザクロは力を得るわけだから、自業自得といえばそれまでだけど。
頑固というか、聞く耳持たないっていうか。大好きだったはずの穏やかな笑顔が恨めしい。
知ってるはずの私の気持ちをまるっきり聞かない振りをして、ザクロは話を終わらせようとした。
「あなたの幸せを心よりお祈りいたします。どうか私のことは忘れて幸せになってください。頼子と過ごした日々は、今まで繰り返してきた主との生活の中で、一番幸せでした。その思い出と共に、私は永遠に眠ります」
どうしてわかってくれないの? こんなにザクロを欲しているのに。
どうして想いが伝わらないの? 命も心も繋がってるはずなのに。
もどかしさに涙があふれ出した。