過保護な妖執事と同居しています!
「いやよ。絶対いや」
駄々をこねるように頭を振ると、ザクロは困ったような表情で静かに言う。
「泣かないでください」
その時、私の中で何かが弾けた気がした。
誰のせいだと思ってるの!? ザクロに慰められる筋合いはない!
「私を泣かせてるのはザクロじゃない。ザクロがどうしても眠るって言うなら、私は絶対幸せになんかなってやらない! 一生泣いて暮らしてやるから! 私を不幸にしたこと後悔すればいいわ!」
泣くのを見たくないと言いながら、泣かせるようなことをしてる。矛盾したザクロの言動に私はキレていた。
「頼子……」
さすがに焦ったのか、ザクロが手を差し伸べながら私に二、三歩歩み寄る。その後ろで清司が、冷めた目で見つめながらつぶやいた。
「おい、それ説得じゃなくて脅迫だろ」
ザクロは気まずそうに私と清司を交互に見つめる。そして清司の隣にいる少女に目を留めた。
「……スサカガミヒメさま、いらっしゃいますか?」
「なんじゃ?」
ザクロが話しかけた途端に、少女の表情ががらりと変わる。凛とした佇まいはそのままに、あどけなさの残っていた瞳が威厳をたたえ、口調も今時の少女のものではない。全身からは神々しさが漂っていた。
清司の奥さんだと思ってたけど、神様だったの!?
呆気にとられて見つめる私に、清司は頭をかきながら軽く説明する。
「いやぁ、うちのかみさんは神さんの器でもあるんだ」
そんなダジャレはいいから。
ようするに霊能者が霊を自分の体に取り込むように、少女が神様を体に取り込んでいるということらしい。