少女狂妄
 ゆっくりとその手鏡を手に取り、裏返す。

 鏡に、自分の姿が映った。


「今までと、違うものが見えたんじゃない?」


 鏡の中の自分と、目が合った。


「誰、これ……」


 鏡の中には、知らない顔が映っていた。

 樹と同じ目をした女の子が映っていた。

 私と同じ髪の長さに、似たような顔立ちをしている。

 でも、私じゃない。

 十四歳の私の顔じゃない。

 もう少し幼い。

 例えば、前に公園で見かけた小学生の女の子ぐらい。

 あの女の子の同級生ぐらいの女の子の顔だった。


「名前を蛍と思い込んでいたように、年も十四歳だと思い込んでいたんだね。僕が見えるように、自分の顔も思い込んだ年齢通りに見えていた、と」


 冷静に、樹が解説してくれる。

 もしかしたら、あの子は本当に私の、時鳥朱音の同級生なのかもしれないの?
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