狂妄のアイリス
 私は近くにある公園へと歩き始めた。

 すべり台と鉄棒、ブランコがあるだけの小さな児童公園。

 まだ学校が終わるには早い時間だから誰もいないと思っていたけれど、赤いランドセルを背負った女の子がいた。

 小学校は早く終わったのかなって思ったけど、それにしては他の小学生がいないのはおかしい。

 早退途中の寄り道だろうか。

 ショートカットの女の子は、三毛猫と戯れている。

 野良猫にしては毛艶がよくて、ふっくらとしている。

 首輪はしていないけど、誰かが餌をあげているのかも。

 今の女の子が、給食のパンをあげてるみたいに。

 私はブランコに腰掛けて、猫と女の子を眺める。

 こういうの、デジャヴとかっていうのかな。

 前も見たことがある気がする。

 女の子に対してなのか猫に対してかは、わからなかったけど。

 この辺りが縄張りの野良猫なら見かけたことがあっても不思議じゃないし、私も小学校までは普通に通っていたから会ったことがあるのかもしれない。
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