狂妄のアイリス

狂妄

 どうして、こんなことになってしまったんだろう。

 私は、病室のベッドから格子模様のついた景色を眺める。

 今日もメディアは私たちの事件で持ちきりだ。

 結局、飛び降りたお母さんも一命を取り留めて、誰も死なずに済むはずだったのに……

 罪の螺旋は、それを許してはくれない。

 私があの女の子を見殺しにしていれば、おじさんは死なずに済んだ?

 窓の景色が涙で歪む。

 警察に保護されて、あの女の子は今どうしているんだろう。

 私たちがあの子の人生を狂わせた。 刺さりどころが悪かった。

 既に日向さんにも刺されていた。

 女の子に刺されていなくても、どの道助からなかったのかもしれない。

 それでも――

 不運なのは、おじさんだろうか。

 それとも、あの女の子の方だったんだろうか。
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