狂妄のアイリス
「これから、どうなるの?」

「なるようにしかならないよ」


 呆れるような声で、樹が応える。

 日向さんは未成年だから極刑は免れるだろう。

 あの女の子も、罪には問われないかもしれない。

 でも、それがなんだっていうの?


「なんかもう……疲れちゃった」


 体が泥のように重い。

 涙が一粒落ちるたびに、心も落ちていく。


「少し、眠りな」


 優しげな樹の声が、いつもと違ってなんだか可笑しい。


「後はよろしくね」


 眠ろう。

 朱音の中の、奥深くで眠りにつこう。

 次目覚める時があるのかなんて、わからないけれど……

 それでも、私たちは生きている。
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