少女狂妄
 赤いランドセルを背負ったショートカットの女の子。

 じっと真っ直ぐに、つぶらな瞳を私に向けてきている。


「久しぶりだね」


 にっこりと、愛想のいい笑みを浮かべて話しかけてる。


「久し……ぶり?」


 前に見かけたときに感じたデジャヴ。

 それは猫じゃなくてこの子に対しての物だったのかな。

 でも、間近で顔を合わせても私はこの子が誰なのか思い出せない。


「本当に、久しぶりだよね〜! よかった。今日は無視されなくって」


 ニコニコとした無邪気な笑みを向けられても、まったく身に覚えがない。

 無視するにも前に見かけたときは、声もかけられなかった。

 それとも、もっと前の話をしているのかな。

 それでも、記憶にない。

 あの事件以来、おじさん以外の人とまともに話をしたこともない。

 それも相まって、私は混乱するばかりで何も言えなくなってしまう。
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