3つのR


 朝食を食べてから、私は支度をしてゴミ拾いに出かける。今日は風もなく日差しだけがサンサンと降っていて、大きな公園は木々が作る影で地面はまだら模様だった。

 目を細めてしばらくその光景をじっと見詰める。

 木漏れ日がそこら中に。黄色と白の光に緑の影が映える。チカチカするほど眩しい景色だった。

 最近ではあまりゴミがなかった。私だけでなく、他の人も拾っているのをみたことがある。ゲートボールの老人達も「あなたにつられて、気がついたら拾うようになったわ~」って笑ってらした。

 それって凄い力だよね、そう思って私は嬉しくなる。

 こうした素晴らしい連鎖反応が。

 空き缶をいくつか集めたところで、おはようございます、と声がした。

 振り返るとクリちゃんを連れたあの男性。私は笑顔で会釈を返す。

「おはようございます、今日はちょっと暑いくらいですね」

「ええ、本当に」

 相変わらず素敵な掠れ気味の声。頭の隅でそう呟いた。特に外見が整っているわけではないにせよ、清潔感のある好感のもてる男性だ。今日も爽やかにポロシャツをさらっと着ている。

 私はしゃがんで柴犬のクリちゃんの頭をなでる。私の膝に頭をぶつけてきて、舌を出して尻尾を振る彼女が可愛かった。何て素直な愛情表現だろうか。

「あの・・・僕は徳井と言います」


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