3つのR
「私は前のままでも素敵だと思ったけどね~!さ、とりあえずコーヒー淹れるわね、まだ昼食には早いしさ」
そしていそいそと台所に行ってしまう。
そんなわけで、朝の10時半、何故かダイニングのテーブルでコーヒーをすする30代が3人・・・。
母に似てお喋りな姉が話したらしい私のゴミ拾いについて龍さんが色々聞いてくるのを適当に答えていたら、叱られた。
「ちょっとジュンコさん!俺が珍しく真剣に聞いてるのに何だその態度~!拗ねるぞ」
私は呆れて返す。
「何ですか、その変な脅し。別に拗ねてくださっても構いませんけど・・・あ、泣き真似はやめて下さい。ちょっとイライラしますから」
彼が耳や尻尾を垂らした犬のような悄然とした雰囲気で泣き真似をするのでそう言ったら、前から姉がしみじみと言う。
「うちの妹は消極的で引っ込み思案だけど、たまに妙なところで厳しいのよ」
「信じられない、俺の泣き真似でイライラされたのは初めてだ!・・・皆可愛がってくれたのに」
龍さんが不思議そうな顔をして私をマジマジと見るから、まるで自分が情緒的絶滅種であるかのような気分になってしまった。・・・そんなにマトモじゃないかしら。今の、普通の女性ならよしよしってするところなの?
分が悪そうな私は頭を振り絞って話題を変えることにする。折角だから、ゴミ拾いのことでも、そう思って龍さんの方を向いた。