3つのR


 春の光が窓から入って、レースのカーテン越しに彼に降り注いでいる。私と姉と一緒にいるのが元夫ではないってことに、改めて驚いた。違う、男の人だ。うわあ~って。

「ん?」

 龍さんが垂れ目を細めて笑う。それもそれで綺麗で繊細な絵のようだった。・・・絵だとしたら高く売れるだろうか、などと考えてしまった。

「あ、ええと。―――――――そう、ゴミ拾いね、あれも3つのRですよ。二つ目のやつ。再使用って私だったらどういうことか考えて・・・それで、一人で凹んだり悩んだりしてた時間の使い方を変えることだ、って決めたんです」

 彼が一瞬考えるような目をした。それからああ、と頷く。

「部屋でぼんやり悩んでいる暇があったら公園のゴミでも拾った方がいいんじゃない?って思って。同じ時間を、使い方を変えてみようって」

「素晴らしいボランティア精神だね~」

 褒めてくれてるのだろうけれど、私はちょっと恥かしくなった。ううー・・・言わなきゃ良かったかも。

「潤子にはいいことだと思うわ。体も使うし、近所の人達とも喋るようになったみたいだし」

 姉が助け舟のようにそういったから、私は頷いた。

「そうそう。ゲートボールのおじいちゃん達とかね、喋るようになったね~。犬の散歩の人とか」

「犬の散歩の人多いものねえ。もうちょっと若者が多ければいいんだけど」

 姉の言葉に反論したくなって、私は身を乗り出す。お喋りするのはおじいちゃんやおばあちゃんだけではないのだぞ、って言いたくて―――――――――


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