3つのR
彼のその外見の変化で、流れた月日をとても意識した。
高田篤志、私の元夫の一つ下の幼馴染で私たちと同じ大学出身の彼が、静かな声で私に言った。
「久しぶりですね、潤さん」
「あの・・・そうね。高田君も元気そうで・・・」
何とかのろのろだけど、私も言葉を返す。そしてテーブルの下で転がしていたパンプスを足で探した。
捻った状態の体が苦しくて、しかも彼も背が高いので、遅ればせながら立ち上がる。
「――――――・・・こんにちは」
会ったら、絶対に笑おうって、心に決めていた。
元夫である平林孝太はここにはいない。それは知っているけれど、高田君はくるかもしれない、そう思っていたのだ。
なぜなら、彼はいつまでも私達のことを心配してくれていたから。
今の私の生活を知らない、だから、顔を見に来るのではないかと思っていた。そして元夫の代わりに私と話し、元気だったよ、と伝えるのかも、と。
周りがそうすすめるのではなくて、高田君本人がそれを望むのではないかって、思っていたのだ。
やっぱり、来ていた。
・・・本当に真面目なんだから。
私はつい微笑が苦笑に変わる。この人、まだ孝太君の世話を焼いてるのかしら、そう思って。